下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤の予防

Prevention

下肢静脈瘤は、静脈瘤が発症した部位によって4種類に大別されていますが、いずれも静脈の弁が正常に働かず、血液が逆流を起こし、静脈のなかにたくさんの血液が溜り、静脈が拡張するという症状は同じです。

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すべての病気には原因があります。下肢静脈瘤についても、発症する確率が高くなる原因はいくつか挙げられています。
例えば、遺伝的要因です。母親が下肢静脈瘤を発症していると、娘も同様に発症する可能性はあります。生まれつき静脈の弁や弁を支持する組織が弱い人にとっては、下肢静脈瘤ができる可能性が比較的高いといえます。 その他に、女性であることや立ったままの姿勢が多い仕事をするなども危険因子と考えられています。
下肢静脈瘤が発症する危険因子が完全に解明されていないにしても、発症の危険性を低くする生活習慣や姿勢を知り、予防するための知識を備えれば、危険因子を多く持った人でも発病の可能性を下げられないわけではありません。 下肢静脈瘤に対する有効な予防手段とは、どのようなものでしょう。

Prevention.01下肢静脈瘤と姿勢

立ったまま動くことの少ない仕事の方に下肢静脈瘤が多く発症することはよく知られています。その理由についてご説明する前に、静脈血が心臓に戻る仕組みについて改めて説明したいと思います。動脈では、血液は心臓の収縮運動によって肺や全身の末端に送られます。運ばれた酸素や栄養分が組織に入り、代わりに老廃物などが血液に入って心臓に戻ります。これが静脈血です。静脈血が心臓に還る仕組みの主役は呼吸運動です。呼気の際に肺腔が陰圧になって、大静脈が膨らんで、結果的に静脈血は引き込まれるのです。

姿勢

ふくらはぎは第二の心臓と言われますが、これは心臓の代 わりに重力に逆らい、下から上へと血液を押し上げるポン プの役割を果たしているからです。

立っていると重力で血液は下に下がります。だから、吸気の際に陰圧で引き上げられても、呼気で陰圧がなくなると落下してしまいます。これを阻止しているのが、逆流を防止する弁です。これが静脈血流を心臓に向かって一方通行にしている仕組みです。人間が四つ足から立ち上がった時点で、足に血液が下がるという事態が運命的に起こったとも言えます。しかし、ふくらはぎなどの筋肉の収縮も静脈血を心臓に押し上げるポンプ作用があります。歩くという筋肉のポンプ作用が静脈還流を補っているともいえるのです。肋骨を広げて深呼吸すれば静脈血流は大きく動きます。飛行機に乗っていて起こるエコノミー症候群は(肺塞栓)は、狭い座席に長時間座って、小さい呼吸で、足を動かさずにいるので、静脈の動きが停滞して起きます。

立ち仕事の多い方は(長時間座っている方も)、下肢の静脈血を動かすこと、足の屈伸や少し歩くなど心掛けることが静脈瘤の発症を予防します。停滞によるむくみなどについては弾性ストッキングの着用で改善が得られます。

Prevention.02静脈への無理な圧力予防

下肢の静脈は、大別すると表在静脈と深部静脈に分けられます。 表在静脈は、筋膜といわれる筋肉を包む膜の外側で皮膚のすぐ下にある静脈であり、深部静脈は、筋肉に囲まれた静脈になります。また交通枝という静脈が、表在静脈と深部静脈をつなぐバイパスの役割を果たしています。

表在静脈と深部静脈は、下肢から心臓の方向(立位と座位の状態では上方向)へ血液を流し、交通枝は表在静脈から深部静脈の一方向だけに血液を流しています。 つまり横臥位(横になった状態)以外は、血液を重力とは逆方向に押し上げるのが、下肢の静脈の仕事です。 静脈の血管の中が単なる筒の状態では、心臓へと押し戻している血液は、重力によって下へと引き戻されてしまいます。したがってそれを防ぐために、逆流を防ぐ弁が備わっています。この構造によって、静脈の中の血液は心臓へと徐々に運ばれていきます。

下肢静脈瘤とは、血液が心臓へと戻ることができず、足の血管に血液がたまって血管がふくれる病気ですから、その発症を避けるためには、重力方向に逆らわらない横になった状態(寝たきり)が一番良い体勢になります。

ただし、この体勢で日常を過ごすことは、ほとんど不可能に近いといえます。したがって、日常の生活を過ごしながら何らかの方法で、静脈の血液が滞ることなく流れる手立てを考え、下肢静脈瘤の予防をする必要があります。その方法としては、筋力の低下を防ぐ、長時間同じ姿勢を続けない、弾性ストッキングなど血液がうっ滞しない用具を使うことなどです。

Prevention.03ふくらはぎ運動

病気を予防するためには、その症状や治療法についての 知識を備えておくことが大切ですが、情報に精通するだ けでは予防になりません。自分が生活の中で実践できる 予防方法を継続して行なうことが大切です。
下肢静脈瘤の前兆として、朝は問題がなくても、夕方に は足のむくみや足がだるい、重い、疲れやすいといった 倦怠感の症状があります。これは下肢に流れた血液が、 静脈を通って心臓にスムーズに戻れないために起こる症 状です。 その予防や改善には、ふくらはぎの筋肉を動 かすことが有効です。 ふくらはぎの筋肉は、静脈の血液 が流れるための重要なポンプとしての役割を担っていますし、この筋肉が衰えると歩く速さが遅くなり、地面を蹴る力も弱くなります。したがって、ふくらはぎの筋肉トレーニングをすることでポンプの性能が改善され、血液を送り返す能力も増します。ふくらはぎとポンプこのように、改善のためにふくらはぎを鍛えるということがわかっても、実際には、仕事の後にジムに通うのは億劫だったり、時間を作って自宅でトレーニングしようとしても続かないということも少なくありません。下肢静脈瘤の発症を予防するための工夫としては、日々の生活の中に短時間でも効果的な方法を取り入れることが大切です。

例えば、長時間立ちっ放しで仕事をする人であれば、時々足首を前後に動かすことを心がけたり、運動不足の人なら一つ手前のバス停で降りて歩くなど、思い立った時にすぐに実践できる方法を知っておくと良いでしょう。 生活の中で気軽にできる予防法を取り入れることが長続きのポイントです。

Prevention.04立位の姿勢

下肢静脈瘤の発病に関わる要因は、男性か女性か、妊娠しているか、 立ち仕事が多いか、遺伝しているかなど多岐に渡ります。女性、妊娠、立ち仕事といった状況など、幾つかの要因が重なっている人は、特に気をつける必要があります。
いずれにしても結果として、下肢静脈の逆流防止弁が正常に働いていない、またふくらはぎにあるひらめ筋の筋肉ポンプの働きが鈍っているために、足の血液が心臓方向へと流れず、足のうっ滞がみられるということが下肢静脈瘤の発症ということになってしまいます。

立位の姿勢では、血液が足に溜まりがちです。長時間立っていればそれだけ血液のうっ滞も多くなるため、1時間の立った状態が続けば、5~10分程度の休息が必要です。足を高くした状態で休息できればベストですが、それが難しい人であれば、歩行、足踏みなど足の筋肉(特にふくらはぎの筋肉)を動かすことを心がけましょう。筋肉のポンプ作用を働かせることで、足のうっ滞した血液を流すことができます。あるいはうっ滞を緩和する弾性ストッキングを履くことでも改善されます。

Prevention.05サルコペニア予防

サルコペニアという言葉を聞いたことがありますか? サルコペ二アとは、骨格筋(こっかくきん)、平滑筋(へいかつきん)、心筋(しんきん)の筋力が加齢によって著しく低下していく現象で、日本でも深刻な問題となりつつある老年症候群のひとつです。

筋肉量の減少は、加齢以外にも過度なダイエットや病気が原因となることもありますが、少なくとも加齢に伴うサルコペニアの現象から逃れることはできません。筋肉の量は、30歳までが最も多い時期であり、それ以降は自然に減少していきます。筋力の維持を意識しない生活が続くと、筋肉量の減少→動くのが億劫→筋肉を動かすことが減ってくる→ますます筋肉量が減る...といった悪循環を招くことになります。

下肢静脈瘤においても、筋力の低下は深刻な問題です。足から心臓へと血液を送る原動力となる筋肉ポンプ、呼吸ポンプが弱くなると、発症の危険性が高まります。 サルコペニアという現象を念頭に入れ、日頃から筋肉を動かし、加齢による筋力の低下を防ぐために、筋肉を鍛える心がけが、大変重要です。

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