下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤の要因

Factor

Factor.01加齢

老化は、避けては通れない道です。筋肉、皮膚、内臓や他 の器官など、それぞれ老化のスピードは違うにしても、加 齢による衰えを完全に止めることはできません。循環器と いわれる心臓や血管も同様で、年齢を重ねるにしたがって 機能は低下し、トラブルが起こりやすくなります。 心臓 から全身に供給される血液を流す管である「動脈」「静脈」「毛細血管」の3種類も、加齢によって、それぞれ持 ち合わせた機能の不具合が生じてきます。 血液を全身へ と供給する動脈は、波動的な血液の流れに合わせて常に 血管の太さが変化します。長年の拍動に対応し続けていくうちに動脈は劣化していきます。 静脈は、動脈のように拍動によって受けるストレスはありませんが、加齢による血管内組織の老化によって、血液の逆流を防ぐ逆流防止弁の機能が正常に動作しない事態を招くことがあります。 特に下肢の静脈では、重力に逆らい筋肉の収縮の力だけで足から心臓へ向かって血液を押し上げており、弁の動きの不具合は深刻なものとなります。

また、ほとんどの人は、加齢によって筋力や呼吸機能が低下していきます。静脈の血行にとって大切な筋肉ポンプ作用や呼吸ポンプ作用が弱まると、流れが悪くなり、血液の滞留が起こりやすくなります。 このように、加齢による各器官の機能低下が、下肢静脈瘤の要因となることもあります。

Factor.02職業

下肢静脈瘤の発症は、立ち仕事が多い人との相関があると考えられてます。 特にじっと立っていなければならない職業である、医者や看護師、理容師、寿司職人、デパート店員などはその典型といえます。 その理由として考えられるのは、ふくらはぎの筋肉ポンプが働かず、下肢の血液を心臓に戻す働きがされていないということです。

お聞きになったことがあるかもしれませんが、長時間飛行機に乗って足を 動かさない状況から、急に動いたことによって足の血管で出来た血栓が肺 の血管に詰まって呼吸困難になり、最悪の場合は死に至ってしまうエコノ ミー症候群も同じような状況です。 また日常生活においても、朝は余裕 をもって履けた靴を、夕方にもう一度履こうとすると、足がむくんでいる ために履きづらいという経験をした方は少なくないでしょう。 このよう に立つという行動が、下肢からの血液やリンパ液が心臓へと還流してい くことを妨げているのです。 初期の下肢静脈瘤の患者さんの症状として、 血管のむくみが夕方には目立つが、一晩横になって睡眠すると朝にはほ とんど消失しているということからも容易に想像ができます。したがって、長時間立ったままという姿勢が、下肢静脈瘤の発症に影響していると考えるのは、当然といってよいでしょう。

  • 医者
  • デパート店員
  • 看護師
  • スーパーのレジ打ち
  • トリマー
  • 警備員
  • 飲食店の調理
  • 工場での流れ作業

Factor.03妊娠や出産

多くの調査で妊娠した女性の1割程度に、下肢静脈瘤がみられると報告されています。その原因としては、子宮と胎児に流れることで血流量が増すこと、また骨盤腔内で胎児の成長で大きくなった子宮が、腸骨静脈から大静脈の静脈経路を圧迫して、下肢からの静脈の戻りを邪魔することになります。帰れない血液は停滞して内圧が高まり、血管を押し上げ、結果として弁に隙間が空いて逆流を阻止できなくなるのです。これが妊娠期に静脈瘤が発症する理由です。
症状としては、一般的な下肢静脈瘤と同じように、足のだるさや就寝時のこむらがえり、足のむくみなどがみられます。 また動脈に比べると静脈は血管の壁が薄いため、拡張して膝の裏や脚の裏の血管が浮き出る、クモの巣状、あるいは網目状に静脈血色の血管が見られるなど、外観上の変化が表れることもあります。
同じ静脈圧の上昇で、外陰部や肛門に静脈瘤ができることがあり、痔も発症します。また静脈瘤に血が固まって赤く腫れる血栓性静脈炎が起きる場合もあります。

妊婦

妊娠による静脈瘤は、出産して骨盤内の胎児がいなくなると80~90%の人が消失すると言われています。若くして静脈の壁に弾力性があれば一時的に広がった内腔が縮み、弁機能を取り戻すことが予測できます。しかし、第二子以後は発症した静脈瘤が残る率は高くなります。60代になって発症する場合に、妊娠時に残った弁機能の障害が再発の原因である人が多いのです。したがって、出産後に静脈瘤が消えても、弁の壊れが残っていないかをチェックすることを考えましょう。

Factor.04女性であること

物理的な確率として男性と女性における下肢静脈瘤ができる確率は、同等とも思えますが、実際には、女性に発現するほうが多く、病院での受診数も女性が多くなっています(注1)。
その可能性の一つに、体格的な差が考えられます。
その分岐点は、第二次性徴以降の筋肉の発達の違いです。思春期を迎えると、男性と女性いずれも、性の違いによる第二次性徴が発現します。男性の場合は、声変わりし、筋肉や骨格が発達し、筋肉質の体格になります。女性の場合は、乳房が発達し、丸みをおびた体型になります。また月経が始まり、子供を生むための準備が始まります。
このように第二次性徴以降は、筋肉の付き方に男女差が出るため、下肢の血液を心臓へと流す役割を果たしている筋肉ポンプの働きにも違いが出ることが考えられます。
もちろん下肢静脈瘤に関係する危険因子として、職業柄や遺伝などもありますが、男女の筋肉量の違いも因子の一つと考えられます。 病院の診察を受ける男性と女性の患者の数に差があるもう一つの理由としては、男性は、軽度の下肢静脈瘤をあまり気にしない事に対し、女性は男性より外見に気を配る度合いが高いという違いもありますので、受診数と実際の有病率には誤差があるかもしれません。

Factor.05女性ホルモン

男性の体と比較すると、成人女性の体は、月経の周期に大きく影響されており、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の絶妙なバランスにコントロールされています。特に、妊娠すると、黄体ホルモンの血中濃度が高くなり、子宮の筋肉が和らげられ、妊娠4ヶ月ぐらいまでの間は体温の高い状態が続きます。

黄体ホルモンの分泌は、妊娠8~9ヶ月で最高となり、その後低下しますが、その間黄体ホルモンの及ぼす影響で、下肢静脈瘤を発症する危険性が高くなっています。 黄体ホルモンは、静脈や静脈洞の伸展性を良くする働きもあります。

黄体ホルモンの影響によって、静脈は広がりやすくなった上、血管を収縮させる筋肉の働きが抑えられることで、血液が送り返されにくくなり、結果的に下肢静脈を 流れる血液の量が増加することになります。広がった静 脈血管壁の弾力は低下し、増加した血液によって血管内部の逆流防止弁の働きも鈍くなってきます。この状態が 長く続くと血液のうっ滞や静脈瘤を引き起こします。黄体ホルモンは、女性ホルモンとして乳腺の発達を促したり、血糖値を正常にするなど重要な役割を担っていますが、下肢静脈瘤を発症させる因子という側面を持っています。

Factor.06遺伝

下肢静脈瘤は、血液の逆流を防ぐ静脈の弁が正常に機能しなくなり、血液が逆流することによってできます。どのような要因で弁の働きが悪くなるのかについては、現在のところはっきりとわかっていませんが、様々な原因が考えられています。

その一つとして、遺伝が挙げられています。母親に下肢静脈瘤が出ている場合、その子供(特に娘)にも下肢静脈瘤ができやすいということから、静脈の弁やその弁を支持する組織が弱いという危険因子は、遺伝する可能性があると思われます。

危険因子とは、特定の疾患が発生する確率を上昇させる因子のことで、下肢静脈瘤の危険因子としては、加齢や生活習慣と共に遺伝も含まれています。姿勢や生活習慣は人為的に改善することができますが、遺伝的な影響は避ける事ができません。したがって母親に下肢静脈瘤ができたとすれば、その子どもにもできる可能性があります。ですから、早期に対応し、重症化を防ぐ必要があります。

母親は、子供が成長する間はその兆候に気をつけ、また、娘が妊娠した場合には、足をよく観察して、弾性ストッキングをはかせる、あるいは立ち仕事を少なくするような工夫を勧めるなど、下肢静脈瘤予防のサポートに努めることが大切です。

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