下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤の原因

Cause

静脈の内腔にある弁は、静脈血が呼吸によるポンプ作用で心臓に引き上げられるのを補助する役割をしています。竹の節の様に存在する弁が、陰圧・陽圧を繰り返す呼吸運動に呼応して下に落ちる血流を阻止して、順繰りに静脈血を心臓に向かって押し上げていきます。

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脚の血管の病気である下肢静脈瘤は、この逆流防止弁が正常に働かないために静脈の血行障害「静脈還流障害(じょうみゃくかんりゅうしょうがい)」が起こり、それが引き金になって起こります。心臓の方向へ流れる静脈を何らかの状況変化で停滞し、スムースに流れなくなると、静脈の内圧が高まり、壁を押し上げ、結果として弁に隙間が空いて逆流を阻止できなくなるのです。竹の節の様に存在する弁が、逆流の圧で内腔が次々と拡げられることによって逆流をストップさせる機能を失い静脈瘤が広がっていくのです。

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全身の中で、特に押し上げの距離が大きい下肢で起こりやすく、下腿の部分や膝の裏に静脈瘤が多くみられます。脚がむくんだり、だるくなったりといった自覚症状が出ます。太ももやふくらはぎの内側の血管が、蛇行して浮き出たりする外観上の特徴が見られます。

Cause.01下肢の筋力の低下

静脈瘤の原因の一つに、下肢の筋力低下があります。
筋力が低下すると、なぜ静脈瘤を発症するのでしょう。
血液は、心臓の収縮によって動脈に押し出され、全身へいきわ たりますが、静脈の流れには心臓の影響が、及ばないため、 心臓に近い静脈の血液は、呼吸による胸部の陰圧によって流れ、 心臓から遠い場所では、筋肉の収縮による筋肉ポンプ作用で血 液を送り、心臓の方向へ流していきます。

ヒラメ筋が血流を上に押し出す

特に足では、ふくらはぎが、第二の心臓と言われるほど、非常 に大切です。ふくらはぎのヒラメ筋には、静脈洞と呼ばれる血 液溜まりがあります。ヒラメ筋が、ギュッと収縮すると深部静 脈(筋肉に囲まれた静脈)も一緒に縮み血液が送られます。 マヨネーズのチューブを押すと中身が出るようなイメージです。ヒラメ筋が緩むと静脈洞と深部静脈も広がり、血液が流れ込みます。静脈の中には、逆流防止弁がありますから、縮むと緩む動作が行なわれれば、足の血液は、心臓へと流れていきます。 日常生活の中では、特に意識しなくても歩いたり足を踏みしめたりすることで、ふくらはぎの筋肉は収縮と弛緩を繰り返します。しかし、何らかの理由で下肢の筋力が低下すると、筋肉ポンプの活動が滞り、血液のうっ滞(血液の流れが悪くなること)となり、下肢静脈瘤を発症する可能性が高まります。

Cause.02下肢の血管の壁面の弱体化

静脈瘤の危険因子(特定の疾患が発生する確率を上昇させる因子)の中に、血管壁面の弱体化が挙げられます。他の部位に比べて大きな圧力がかかる下肢の静脈においては、血管が丈夫であることは大変重要です。

しかし静脈は、心臓に戻る血液を運ぶだけの役割のため、血管 の中膜は薄く、筋組織や弾性繊維が少ない構造で、頑丈な圧力 に耐えられる構造ではありません。したがってなんらかの理由 でやわらかい静脈に血液が滞留して内圧が大きくなると、血管 は圧力で押し広げられてパンパンに膨らみます。 この時、血管の壁面が弱体化していると、血管は押し広げられ たままの状態で元の大きさに戻らず、血管が太くなり、血管内 部の逆流防止弁や弁を支持する組織が正常に働けず、弁が壊れ て機能しなくなり、静脈のうっ滞となって静脈瘤ができてしま うことになります。

静脈の血管壁面を弱くする原因として、加齢による老化、ダイエットによる栄養不足、月経や妊娠によるホルモンの影響などがあります。

  • ダイエット
  • 栄養不足
  • 肥満
  • 妊娠
  • 老化
  • ホルモン バランス
  • 月経

Cause.03逆流防止の弁の損傷や機能が低下

静脈には、血液の逆流を防ぐ弁が備わっています。特に下肢では、立った姿勢や座った姿勢など、重力に逆らって血液を心臓まで送り上げる必要があるので、弁が多く存在します。しかしこの大切な役割を担っている逆流防止弁が、機能を果たさなくなると、静脈瘤を発症する可能性がでてきます。

では、どのような状況下で弁が正常ではなくなり、壊れるのでしょうか。 例えば日常生活の中で足を動かさない時間が多い人の場合を考えてみましょう。いわゆる長い時間立った状態で仕事をしている人です。 立ったままの姿勢で足を動かさない状態が続くと、筋肉ポンプも活発に働いてはいません。すると、下肢の静脈には血液が溜り、血管は通常以上に押し広げられることになります。深部静脈は筋肉に囲まれているため、その影響を最小限に留めることはできますが、皮膚のすぐ下にある表在静脈は、交通枝と呼ばれる深部静脈へのバイパス路を閉ざされ、血液の流れが滞ることになります。

血液の弁

しなやかですが血管の壁の厚みが薄く弾力の ない静脈に強い圧力がかかり続けると、耐え られなくなり、弁にも影響を及ぼしてしまい ます。
本来この弁は非常に強力で、正常であれば動 脈の圧がかかっても逆流することはありませ んが、弁にとって慢性的な悪条件によって、 弁の開閉が高まった静脈の内圧に耐え切れな くなり、逆流防止の機能を担う弁が十分に役 割を果たすことができなくなります。妊娠な どに分泌される黄体ホルモンによっても、弁の正常な働きを阻害する場合があります。

Cause.04呼吸が浅いことによる胸腔内の陰圧状態が不十分

心臓から遠い下肢静脈では、主に筋肉ポンプの働きによって血液は流れますが、私達が、何気なく行なっている呼吸も、静脈の流れをスムーズに行なうポンプの役目を担っています。

肺の動脈・静脈

心臓の拍動によって、血液は心臓から送り出 されますが、静脈を流れる血液にまでは、その力が及びません。
それに代わる働きを行なうために、人の体は、息を吸うことによって胸郭が拡大され、胸部の内圧が下がることを利用して、静脈血を心臓へ流す仕組みを備えています。 例えると、注射器で血液を採取するときのようなものです。

胸郭を大きく拡大すればするほど、吸引力は 大きくなり、より遠くの血液まで吸引できる ようになるわけです。と言うことは逆に呼吸 が浅いと胸郭が大きく拡大しないため、呼吸 ポンプは静脈の流れに十分に機能しないとい うことになります。

普段まったく意識などしない呼吸行動です が、緊張した時には呼吸が浅くなりがちです し、がっかりした時も肩が落ちてうつむく体 勢になり、胸もすぼまってしまいます。日々 の暮らしの中において、猫背気味で胸郭を大 きく膨らませることが少ない方は、自然と静 脈の血流を悪くしているということになります。

下肢静脈瘤の原因となる静脈の血行不良を回避するためにも、胸を張ってゆったりした深い呼吸を心がけることが大切です。

また、下肢静脈瘤の患者さんの場合「エコノミー症候群」になりやすい、と言われています。
機内など、乾燥した状態の中に長時間いると脱水状態となり血液が固まりやすくなります。
長時間座っていると下肢が圧迫され続け、うっ血を起こし、血栓が生じてしまいます(深部静脈血栓症) 。
血栓は、立ち上がった際に血液の流れに乗って移動し、肺の細い血管で詰まる事で呼吸困難や動悸を引き起こします(肺塞栓症) 。
機内だけではなく、日常生活の中でも同様の事が言えます。 エコノミー症候群を予防するためにも、長時間座った状態の際には足のマッサージ、適切な水分摂取を心がけましょう。

Cause.05血液粘度が濃い

静脈瘤を招く原因として、血液の粘度が高くなることも挙げられます。 血液粘度が増すと、動脈では血圧を上昇させ、血流量を増やして正常に戻そうと働きますが、静脈では、血液粘度が増して血流量が減ると、さらに血液の粘度が高まってしまい、血流が一層滞ってしまいます。 また粘度の高い状態で、静脈血と血管壁面との摩擦が大きくなって流れにくい環境になるため、静脈内に血栓ができるという深刻な状態を招きかねません。

主に筋肉ポンプの働きで血液を心臓へと送り返す下肢においても、粘度が高いために、血液がスムーズに流れない状態が続くと、滞った血液によって血管壁面に圧力が長期間かかることによって、血管が太くなります。ま た逆流防止弁へのダメージも起こりえます。逆流防止機能が低下して、正常に働かなれば、静脈瘤を発症する可能性は高くなります。特に表在静脈は、深部動脈より影響を受けやすいと考えられます。

ある疫学調査では、成人男性、閉経後の女性、喫煙者、血圧が高い人、血漿中コレステロールが多い人は、血液の粘度が高くなる傾向にあるいう結果も出ていますので、下肢静脈瘤が発症することへの注意が必要となります(教育講座:血液のレオロジーと生理機能) 。

  • 成人男性
  • 血漿中コレステロールの多い人
  • 閉経後の女性
  • 喫煙者
  • 血圧の高い人
  • 加齢

Cause.06血管が柔らかい

静脈瘤を発症する因子として、血管が柔らかいことも挙げられます。 血管が硬い、いわゆる動脈硬化は、心筋梗塞などの命取りになる病の原因となることは良く知られています。動脈は、心臓の拍動で血液を押し出しているため、心臓への負担を軽減し血流を良くするためにも、血管の柔軟性は柔らかいほど良いとされています。

しかし、静脈においては、血管が柔らかくなることが危険因子となります。もともとしなやかで拡がりやすい静脈が、さらに柔らかくなると、圧力に対して反発性が劣ることになり、血管の太さが大きくなりやすくなります。また、逆流防止弁が正常に機能しなくなる可能性が高まり、静脈瘤を発症している場合であれば、症状が進行することも考えられます。

特に筋肉に支えられていない表在静脈では、この状態が現れやすい個所であるため、「あれ?静脈瘤かな?」と発症に初めて気づく場合も少なくありません。
血管が柔らかくなる原因としては、黄体ホルモンの影響が挙げられます。生理前や妊娠には黄体ホルモンが増加するため、特にこの時期は予防に気がける必要があります。

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Cause.07肥満などの体重増加

体重の増加そのものが静脈瘤に関わるのではありませんが、肥満の人は、血中のコレステロール値、血糖値、中性脂肪値が高い傾向にあります。いわゆる成人病のきっかけと考えられているこれらの数値が高くなると、血液は粘度が高くなり、血行障害につながる可能性も高くなります。
「血液粘度と静脈瘤」でも紹介したように、粘度の高い血液で血管内に負担がかかると、弁や弁を支える支持組織にダメージを与える恐れがあり、静脈瘤になる危険性が高まります。
また、肥満傾向の人は、運動不足が原因となっている場合が多く、ふくらはぎなどの筋力が低下していることも考えられます。太りすぎると、肋骨周辺の皮下脂肪が厚くなり、胸腔を大きく拡げる呼吸がしづらくなる上、 溜まった内臓脂肪によって横隔膜も動きづらくなります。そのため、無呼吸症候群などの呼吸障害を起こす場合があります。呼吸は、静脈の血行を促進するために重要な役割を担っていますので、呼吸が浅くなり静脈の血行が悪くなると、下肢静脈の血液の流れにも影響を及ぼす可能性が考えられます。

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